佐伯祐三展@大阪市立美術館⑥扉・黄色いレストラン

画家佐伯祐三が死を迎える3ヶ月の間、どういうわけか、パリのアパルトマンやレストランの入口・ドアそのものを描くようになります。どうして扉そのものに関心をいただくようになったのか、定かなことはわかりませんが、少なくとも己に迫ってきた死に対するの意識がこれらの絵の深層に潜んでいるように思えてなりません。しかしながら、同時に芸術そのもの己の余りにも短い人生に対する葛藤というものが激しくも真摯なタッチに内在しているように思えます。


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赤い入口(1928年)
「赤い入口」というタイトルですが、それよりも中央の黒い扉が印象的。佐伯自身の孤独感といったものが感じられませんか。


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扉(1928年)
強固で重さを感じさせる扉ですね。良く見ると左側のドアが少し開いています。心理テストじみていますが(笑)、このドアがこれから開けられるのか、それとも閉ざされるのか、それともそのままなのか。ドアの向こうには暗闇。とにかくも、すぐ近くに迫っている死に直面しつつ、それでも絵を描いていく強い意志というものをこの扉に感じるのですが。


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黄色いレストラン(1928年)
おそらく、佐伯、最後の作品とされる「黄色いレストラン」。黒く塗りつぶされた扉の向こう側が印象的。絶筆ということもあり、どうしても「死」というものを意識せざるを得ませんね。それにしても佐伯最後の作品とは思えない存在感と力強さ。この絵を見るにつけ、あまりにも早い彼の死が残念でなりません。
by tetsuwanco | 2008-10-05 07:01 | アート

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by てつわんこ
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