見果てぬ夢-日本近代画家の絶筆(1)高島野十郎の「睡蓮」
2007年 06月 05日
7月8日まで兵庫県立美術館で開催中の「見果てぬ夢-日本近代画家の絶筆」展同展は明治時代から現代にいたるまで、わが国で活躍した代表的な洋画家および日本画家約90人を選び出し、それぞれが死の直前に描いた作品を一堂に紹介するというもの。最後の展覧会に出品されたもの、あるいは、未完のままアトリエに遺されたものなど様々な絶筆作品を通して、画家ひとりひとりが歩んできたかけがえのない人生に思いめぐらせるという趣向。
基本的に各画家につき、一つの作品が展示されていますので、その画家が歩んできた道のりなりを把握しているか否かで、出展された絵がどのように見る者の心に反映するか、変わってくると思われます。
いくつか印象に残ったものがありましたのでご紹介させていただきますが、まず、高島野十郎の絶筆とされる「睡蓮」。

高島野十郎は、明治23年久留米生まれ。
第八高等学校を経て東京帝国大学農学部水産学科に進学、同科を首席で卒業するも絵画の道を選び、以降師につくこともなく、特定の美術団体へ属することもせずに、ただひたすら自らの画業に没頭。
生涯独身で過ごした野十郎は晩年、千葉県柏市に居を定める一方、全国各地への写生旅行や巡礼を行い、数回の個展のみを作品発表の場とする清貧の生活を送ったとのこと。
彼の絵の中で蝋燭の絵が有名かなと思うのですが、私は、彼の花、特に睡蓮が好み。あのモネの睡蓮以上に。
この「睡蓮」は、住宅兼アトリエとなっていた小屋に見舞いに来た孫に手渡したものだとか。
睡蓮に限らず全ての花は散り行く運命にありますが、次々と花を咲かし続けるものですね。この睡蓮の絵でも水中から蕾が顔を出しています。どういう気持ちでこの絵を描いたのかはわかりませんが、少なくとも、自分の画家として真摯に取り組む姿を、孫たちに託したような気がいたします。
◆見果てぬ夢-日本近代画家の絶筆
開催日:2007年5月29日~7月8日10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)、休館日は毎週月曜日(月曜日祝日の場合は翌火曜日)
開催場所:神戸市 兵庫県立美術館-「芸術の館」-
料金:一般1200円、高大生900円、小中生700円
主催者:兵庫県立美術館、読売新聞大阪本社、美術館連絡協議会

