ベルギー王立美術館展(1)ペーテル・ブリューゲル(父)?:イカロスの墜落
2007年 05月 16日

いきなり、お目にかかれます。それにしても、もう少し大きい絵だとイメージしていたのですが。
この作品は、ペーテル・ブリューゲル唯一のギリシャ神話を題材にした作品。父ダイダロスが発明した翼で空中高く飛んだイカロス。高く飛びすぎて太陽の熱で翼の蝋が溶け、海に落ちて死んでしまったというお馴染みのお話。
この絵の解釈は様々で、ペーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」と同じく、神に対する冒涜を表すというのが一般的なんでしょうが、単にそれだけで切り捨てるには不思議な絵です。
この絵だけでは、イカロスは海でもがく両足しか描かれていません。それも本当に小さく。これでは、イカロスかどうかさっぱりわからない(笑)。
それにしても、あまりにも小さく描かれたイカロスに対し、おどろくほど大きく描かれた農作業に従事する民。このアンバランスは何を意味するのでしょうか。
そして、海に浮かぶ廃墟。空を眺める羊飼い。
帆船は港に入ろうとしているのか、それとも出港しているのか?
安易な解釈は避けるべきでしょうね。
ところで、この絵、ブリューゲルの代表作と考えられていたのが、疑問符が付けられているとのこと。構想はブリューゲル自身によるものだが、制作は別人によるものだというのが最近の多数派だそうな。
読売新聞 大阪本社「ベルギー王立美術 館展」 公式サイト