庄司 紗矢香&小菅 優デュオ・コンサート(4)バッハ:「シャコンヌ」
2007年 03月 27日
その際、「もちろん私は肯定派。私は、こういうバッハもありだと考えております。」と書かせていただきましたが、こういうバッハが好きかというとそうでもありません(笑)。
彼女の「シャコンヌ」はどちらかというと、必要以上の歌を極力排除した現代的なノンビブラート、ロマン性を廃したアプローチ。演奏に思い入れ、精神性といったものを盛り込もうという意志は皆無。ですから、演奏上、そういうものを期待してしまうと、がっかりすることになります。彼女の演奏は、クレーメル、そうクレーメルの新盤のアプローチに近い・・・。

決して美しい演奏をめざしたものではありません。五嶋みどりやチョン・キョンファのような集中力、神がかった陶酔感といったものはありません。シゲティのような精神性の高みにも達していません。ただ、自分の信じるところ、彼女は身を削るような思いで壮絶に切り込んでいます。ただ、クレーメルの域に達しているかというと、まだ、そこまでには(笑)。
でも、舞台上の彼女は、スリリングにして直接的なエネルギーに満ちていたことは間違いなく、今後の彼女の成長に期待したいところであります。