プーシキン:金の鶏 朗読CD絵本 ~クラシックファン、オペラファン必読の書ですね
2007年 03月 17日

はじめは、実のところ、「金のがちょう」のお話と混同していました(笑)。
金のがちょうのお話は・・・
金のがちょうがほしくて手にいれようとすると手が離れなくなり、そんなこんなで、それに出会った人はみんな手が離れなくなり、数珠つなぎになる・・・。それを見た、一度もわらったことがないお姫様が、「けけけ・・」と笑い、金のがちょうの持ち主が、目出度くお姫様と結婚することになりました。めでたし、めでたし。
A.プーシキン作の民話風の物語「金の鶏」は、そんなおめでたい話ではなく、どちらかというと血なまぐさい薫りがする大人向きのストーリー展開。おバカな王様が、有事に危険を知らせる「金の鶏」に翻弄され・・・
ところで、「金の鶏」っていうから、わからないのであって、クラオタの私には、「金鶏」といってもらわなくっちゃ。そう、リムスキー・コルサコフの傑作オペラ「金鶏」のオリジナル短編民話。
このCDブックは、クラシックファン、オペラファンには必読の書だと思うのですが、何ゆえかと申しますと・・・
その1 翻訳がすばらしい
もちろん、文豪プーシキンのロシア語原本を読むべきなんでしょうが、ロシア語が読めない一般ピープルは、みやこうせい氏のすばらしい翻訳で。
その2 朗読がすばらしい
そのすばらしい翻訳を、今は亡き、岸田今日子さんの朗読とアニメーションを芸術の極みまで高めた映画監督のノルシュテイン氏が行っていること。岸田今日子さんの朗読は、まさに彼女しか作り出すことができない一つの世界を堪能することができるはず。お宝ものですよ。
それに、以外や以外、ノルシュテインさんの朗読も骨太でなかなか味わい深いものがあります。
その3 絵がすばらしい
V.ナザルークという現代ロシアを代表する画家による挿絵なんですが、これまた、民族調でなかなか味わい深いのであります。この挿絵作成に3年の月日がかかったとか。
その4 解説がすばらしい
翻訳のみやこうせい氏が、「ぷうしきんと金の鶏」というタイトルで10ページ以上かけて解説されています。これが凄いし面白い。プーシキン作の民話は、シンプルなんですけど、奥が深いですから、こういう解説は有難いですね。みやこうせい氏はクラシックにも造詣が深いようで、ショスタコーヴィッチの名を解説にみることができます。もちろん、リムスキー・コルサコフの「金鶏」にも2ページをさいて言及されていますが、これまた素晴らしい。
なお、このCDブックは出版が個人、発行所が未知谷というあまり知らないところなので、お早めに購入することをお薦めいたします。
物語と挿絵と朗読と、3拍子そろった素晴らしい傑作本です。