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大山崎山荘美術館(1)神戸市須磨区旧室谷邸保存問題に向けて

須磨離宮公園前のヴォーリズ建築旧室谷邸の保存については、残念ながら、少なくとも、現在地における保存は風前と灯火ともいえる状況となっていますね。

ところで、周辺住民、行政、経済界や建築家の連携・協力によって、保存運動がうまく実を結んだものとして思い浮かぶのは、大阪府と京都府の境にある天王山の山腹という風光明媚な場所に位置する大山崎山荘であります。この建物は、現在、アサヒビール大山崎山荘美術館として再生され、多くの観光客を受け入れています。

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もともと、実業家加賀正太郎氏が1932年に立てた英国チューダー様式の山荘は、後に加賀家の手を離れ、様々な所有者の手に移り一時は会員制レストランなどに再利用されたものの、年々老朽化が進み、バブル経済末期には建設業者が買収し、一帯を更地に地上げするマンション開発計画が立てらようになります。天王山の横腹に大きなマンション群が林立し景観が一変することを危惧する地元住民は山荘の価値を見直し、山荘と周囲の森林の保全を訴えるのですが、これが大山崎町や京都府を動かし、さらに当時の京都府知事荒巻禎一氏の友人だったアサヒビールの社長樋口廣太郎が知事の申し出に応じて企業メセナ活動として保存に協力することになったのであります。こうして土地は京都府や大山崎町などが業者から買い取り、山荘はアサヒビール運営の山本コレクションの美術館となることが決定されます。建築設計・監修には安藤忠雄氏が選ばれ、保存・修復された山荘は、1996年に美術館として開館するのであります。

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この大山崎山荘のケースは、アサヒビールは加賀の作ったニッカウヰスキーがアサヒビール傘下の子会社となっていたこと、さらにアサヒビール初代社長の山本為三郎と加賀正太郎は交友もあったことプラスに作用したと言えますし、自治体の財政状況が現在ほど逼迫していたわけでもないので、国による地方財政の引き締めの存在や、震災復興のための借金財政にあえぐ神戸市・兵庫県に当時の大山崎町や京都府と同じことを期待するのはちょっと困難かなとは思います。

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ただ、現在地で保存で何か方策が無いのか、もし、それが困難であれば、この貴重な財産をうまく保存し活用できることができないか、知恵なりとも出していただきたいところであります。

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by tetsuwanco | 2007-01-30 05:41 | アート

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by てつわんこ
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