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イングランド民謡:スカボロフェア

イングランド民謡:スカボロフェア_b0063958_8134763.jpg皆さん、もちろん、サイモン&ガーファンクルが映画「卒業」で取り上げた「スカボロフェア」はご存知のことと思います。スカボロは地名なんですが、スカボロといってもアチラでは全然通じません。私が実証済みです(笑)。スカーバラが実際の発音に近いですね。

なお、オリジナルはイングランド民謡にして、歌詞はマザーグースに由来するようです。

ところで、先日、演奏会で平井満美子さんが歌った「スカボロフェア」は、私たちが一般的に耳にしている「スカボロフェア」、つまり、サイモン&ガーファンクルが歌ったものと旋律が少々違っていたのであります。おそらく、平井さんが歌った方がより古いスタイルなのでしょう。なお、確認してみたのですが、サイモン&ガーファンクルの「スカボロフェア」では、歌詞も、現代人にも分かりやすいように若干変更しています。

ところで、「Parsley, sage, rosemary and thyme(パセリ、セージ、ローズマリー、タイム)と呪文のように繰り返されるのですが、これはひょっとしてほんとうに「呪文」かもしれないという話をロンドンのキュー・ガーデンのハーブ研究家の方から聞いたことがあります。4つのハーブを呪文を唱えながら磨り潰していたのではないかと・・・。

実は、この4つのハーブ、それぞれ意味が込められているのであります。諸説あるようですけどね。

先ず、パセリ。
今でこそパセリは食用とされていますが、実際、あれ飾りでしょう(笑)。皆さん、食べます? もともと、アレは食用でなく、冠婚葬祭などの儀式に使われていたのです。このパセリ、平和や祝福をもたらす草とされ、他のハーブや花と一緒に使った花冠に使われ、花嫁に付き添う娘を飾ったり、戦いの勝者に贈られたりしていたのであります。

パセリは「結婚式」とも縁がある植物だったんですね。

次はセージ。
セージという名前の由来は「健康、救う、癒す」という意味を持つラテン語「salvare」にあるとか。セージには人々の健康を守り、命を助ける力があると信じられていたそうです。中世の頃には聖母マリアに祝福されている草とされ「キリストの薬草」とも呼ばれていたとのこと。英国の古い諺には「長生きをしたければ5月にセージを食べよ」というものもあるとか。

三番目はローズマリー。

常緑で淡いブルーの花が咲くローズマリーにはキリスト教、特にマリア様と結びつけられることが多いようです。マリア様、青い衣服を纏っておられるでしょう。香りについては、聖母マリアは幼子イエスの産着を洗い、乾かす時にはローズマリーの枝に広げていました。すると特別な力をもつ独特な香りになったとか。
なお、結婚式でも永遠の愛の証としてリボンで飾ったローズマリーの枝を花婿に贈り、招待された人々もローズマリーの枝で門出の二人を祝福する、そんな習慣があったとか。

そして、最後は、タイム。

タイムも、ローズマリー同様にキリスト教とも結びつきがあります。聖母マリアのベッドに敷き詰められていた草のなかに香り高いタイムがあり、このことから母性を象徴するハーブと言われるようになったそうです。

タイムの学名である「Thymus」はギリシャ語で「勇気」という意味を持つ「thumos」に由来しています。かつてタイムは勇気、強さの象徴として扱われていたとのこと。
中世では、遠征する騎士に勇気と強さのシンボルとしてタイムの小枝を贈ってはなむけとしたり、タイムとその香りに引き寄せられる蜜蜂のモチーフを刺繍したスカーフを贈り物としていたということです。このスカーフには「愛の思い出」という意味もあったようで、香りに引き寄せられる蜜蜂によせて「貴方に惹かれています。いつも貴方のお側にいます」というような気持ちも含まれていたようです。

まあ、4つのハーブの意味するところ、いろいろな意味が時と場所で変化していったようですが、何かしら、アニー・ローリーの歌のように、愛していたけれど(今でも愛しているけれど)、何らかの理由で、結ばれることのなかった愛というものが浮かび上がってきませんか。スカボロに住んでいる(たぶん嫁いで)女性を遠い地で思い焦がれる男性が歌っているいじけた歌なんでしょう。

そうすれば、ダスティン・ホフマン主演のあの映画「卒業」。この歌を聴いた後で、あのラストシーン、つまり結婚式の教会で、心から愛する女性を奪い、一緒に逃げるシーンでは、思わず「ガンバレ!」と声援をかけたくなってしまいますね(笑)。

さて、クラシックにおいても、このスカボロフェアの旋律を使った、変奏曲を一度実演で聴いたことがあります。かなり前のことで正確な名前はわからないのですが、たぶんカルヴィン・カスターの作曲の「スカボロフェア変奏曲」。序奏のあとフルートのソロで主題が提示され、木管やホルンが繰り返し、金管が引き継いで変奏曲に入るというもの。最後はフーガとなるのですが、なかなかしみじみとした良い曲。あまり実演も録音もやってくれないのは残念。

イングランド民謡:スカボロフェア_b0063958_8132266.jpgあっ、それから、キングズ・シンガーズの素晴らしいCDをご紹介。EMIからリリースされているものですが、「スカボロフェア」も入っています。
《収録曲》
Scarborough Fair
Skye Boat Song
What Shall We Do with the Drunken Sailor?
Annie Laurie
Greensleeves
Danny Boy
The Lincolnshire Poacher
Loch Lomond
The Lass of Richmond Hill
Sally Gardens
The Ash Grove
Aiken Drum
Golden Slumbers
Ar Hyd Y Nos (All Through the Night)
Going to Town
Home Sweet Home
Eriskay Love Lilt
Mairi's Wedding



Scarborough Fair

Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme
Remember me to one who lives there
For once she was a true love of mine.

Have her make me a cambric shirt
Parsley, sage, rosemary and thyme
Without a seam or fine needle work
And then she'll be a true love of mine.

Have her wash it in yonder dry well
Parsley, sage, rosemary and thyme
Where ne'er a drop of water e'er fell
And then she'll be a true love of mine.

Have her find me an acre of land
Parsley, sage, rosemary and thyme
Between the sea and over the sand
And then she'll be a true love of mine.

Plow the land with the horn of a lamb
Parsley, sage, rosemary and thyme
Then sow some seeds from north of the dam
And then she'll be a true love of mine.

If she tells me she can't,
I'll reply Parsley, sage, rosemary and thyme
Let me know that at least she will try
And then she'll be a true love of mine.

Love imposes impossible tasks
Parsley, sage, rosemary and thyme
Though not more than any heart asks
And I must know she's a true love of mine.

Dear, when thou has finished thy task
Parsley, sage, rosemary and thyme
Come to me, my hand for to ask
For thou then art a true love of mine.
by tetsuwanco | 2006-12-16 08:05 | 旬のクラシック

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by てつわんこ
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