雨の金沢(15)茶屋「志摩」 凛とした艶やかさ
2006年 12月 13日
「志摩」は、文政三年(1820)に建てられたお茶屋の建物で、これまで手を加えることなく、江戸時代そのままに残っており、学術的にも貴重な文化遺産として高く評価されています。建物が出来たのは1820年(文政3)、街が廓(くるわ)として成立したのと同時とされています。国指定重要文化財。最初は、「越中屋」。その後、「尾張屋」「白尾屋」「竹琴」と、経営者が変わっていき、最後の名が「志摩」で、戦後まで続いたとのこと。 茶屋の歴史を閉じた後、1977年からは一般公開を始めることになります。
お茶屋は、2階を客間とし、押し入れや物入れ等は作らず、あくまでも遊興を主体とした粋な造りとなっています。
客間は随所に漆塗りが見え、ふすまの引き手や釘隠しなどには七宝焼が使われています。用のない押し入れなどは備えていません。また、太い柱などがないので、そんなに広々とした部屋ではなくても圧迫感がありません。
今ここに、芸者衆の姿はなく、三味線の音色も聞こえません。でも建物は、造られた当初のたたずまいをほぼ残していますので、外観をながめ、さらに屋内を巡りながら華やかな歴史を忍ぶことが、十分出来ます。

紅殻(べんがら)色の色鮮やかな壁に金色の屏風、主要な柱には「面皮柱(めんかわばしら)」と呼ばれる丸太の柱は漆となっており、凛とした艶やかさを持っています。


祝儀袋が展示されておりました。なかなかお洒落ですね。


