加羽沢美濃 Presents 3大ピアニスト(横山幸雄、近藤嘉宏、青柳晋)@神戸新聞松方ホール
2006年 12月 01日
◆3大ピアニストとは、横山幸雄、近藤嘉宏、青柳晋の御三人。司会を勤められた加羽沢さんから「3大ピアニスト」と紹介されて、皆さん、居心地の悪そうな風情でしたが、どうしてどうして、我が国を代表する今が旬の若手ピアニストで、彼らの力量を充分堪能できました。プログラムも今話題の曲から、誰もが知っている曲、そして、ちょっと渋めの曲、そして、オリジナル曲とバラエティに富んだものとなっていましたし、ソロから連弾さらには8手による演奏とあり、とにかく楽しめる内容になっておりました。
◆モーツァルトの「2台のピアノ~」は、つい最近、例の月9ドラマ「のだめカンタービレ」で大きく取り上げられ、話題沸騰(?)となったものですが、このプログラムのオープニングを飾って演奏されたのは単なる偶然のようです(笑)。舞台にはスタンウェイが2台向かい合って設置されていたのですが、そもそも、この曲の初演、つまりモーツァルトとハウエルハンマー嬢とは今回のピアノの配置のように向かい合っていたのでしょうか、それとも、「のだめ」のように並んで演奏していたんでしょうか。向かい合って座ると目と目でアイコンタクトが取れますが、指先がもう一つ見えにくいですね。並んで座るとその逆。昨日は、モーツァルト役の横山がオーバーアクション気味に腕を上下させていたりして、向かい側のピアニストからもよく見えるようにされていました。もちろん、青柳さんには、そんなことされる必要はモウトウないのですが(笑)、微笑ましいモーツァルトとハウエルハンマー嬢との初演の様子がイメージされて、なかかか面白かったです。横山さんも古のモーツァルトの姿に思いを馳せて演奏されていたのでしょうか(笑)。
◆リストのラ・カンパネラの実演を聴くのは実に久しぶりであります。10年ぶり。前回は、横山さんのようなヴィルトゥオーゾではなかったこともあり(?)、そう感じなかったのですが、ちゃんと、小さな鐘の音が聞こえました。横山さんクラスになると、安心して聴いていられます(笑)。
◆加羽沢美濃さんの即興演奏メドレーは、男性3人のピアニストの中で、一輪の薔薇と申せましょう(笑)。彼女のピアノは、例えて言えば、「日曜日のパリ、遅い朝食後を取った後に、サロンのような小さくて優雅な場所で仲間内で聞くような」と申しましょうか(笑)。名曲メドレーということで、ドビュッシーの「月の光」、ベートーヴェンの「月光ソナタ」、「エリーゼのために」、シューマンの「トライメライ」などが散りばめられていましたが、冒頭部分の曲がわかりませんでした。加羽沢さんのオリジナルだったのでしょうか。
◆横山幸雄さんが今回のツアーのために作曲された「祝典序曲」と「ショパンの“別れの曲”による別れの曲」は、未出版だとのことでしたが、おそらく「バッハ=グノーの主題による“アヴェ・マリア”も未出版でしょう。初めて聴きました。この3曲の中では、絶対4手による「祝祭序曲」が一番でしたね。いかにも祝祭的な華やかさがありましたが、併せて、ラフマニノフのような過去を振返るような憂鬱さも垣間見られるような内容に仕上がっていました。
〔プログラム〕
モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 第1楽章 <横山・青柳>
ショパン:エチュード 変イ長調「エオリアン・ハープ」、エチュード イ短調「木枯らし」、英雄ポロネーズ <近藤>
リスト:ラ・カンパネラ <横山>
横山幸雄:バッハ=グノーの主題による“アヴェ・マリア” <横山>
スクリャービン:エチュード 嬰ニ短調「悲愴」Op.8-12 <横山>
ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲 第2番 第4楽章「タランテラ」 <近藤・青柳>
・・・休憩・・・
加羽沢美濃:(即興演奏による)名曲メドレー
フィールド:ノクターン第4番<青柳>
リスト:ハンガリー狂詩曲第2番 <青柳>
横山幸雄:祝祭序曲 <横山、近藤>
〔アンコール曲〕
横山幸雄:ショパンの「別れの曲」の主題による別れの曲

