スウェーリンクと詩編歌 合唱とオルガンによるコンサート@神港教会
2006年 11月 12日

演奏曲(オルガン曲2曲を除く)は、「ジュネーヴ詩編歌」に基づく作品。「ジュネーブ詩編歌」とは、宗教改革者J.カルヴァンが、礼拝の会衆讃美のために旧約聖書の詩編150編すべてに125の旋律と自国語による韻律訳(歌えるように音節などを詩として整えた訳)を当時の大詩人クレマン・マロ等の協力によって制定したものであります。
「ジュネーヴ詩編歌」は礼拝の中では単旋律、無伴奏で歌われましたが、当時のヨーロッパでまたたくまに広まり、合唱、オルガン、リュート、リコーダー等のために多くの作品が生まれ、家庭で、集会で、様々な機会に歌い奏でられ、楽しまれたとのこと。今回はその中から、オランダ、アムステルダムで活躍したオルガニスト、ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク(1562-1621)の作品を中心にプログラムが組まれました。スウェーリンクは北ドイツ、オランダのオルガン音楽に多大な影響を与えたことで知られていますが、優れた合唱曲も数多く残しています。
スウェーリンクの鍵盤曲についてはCDのスウェーリンク鍵盤曲集なんかで聴いたことあるのですが、彼の合唱曲は実演、音盤を通じて全くの初めてでした。初めて聴いて感じたことは、流麗奔放といった感じあるいは奇抜さといったものはあまり感じられないということ。どちらかというとシンプルで「端正」な音楽表現とでも言いましょうか。
合唱は声楽アンサンブルのヴォックス・フマーナ。松蔭室内合唱団、バッハ・コレギウム・ジャパン神戸の合唱団を経て、四重唱を軸に演奏活動していることからもわかるとおり、しっかりした実力を有しており、安心して心行くまで中世北ドイツ、オランダの歌声を堪能することができました。
《プログラム》
J.P.スウェーリンク
詩編歌96編「新しき歌もて」第1節 会衆讃美
詩編歌96編「新しき歌もて」第1節 四重唱
コラール「意図高きところには神にのみ栄光あれ」 オルガン
詩編歌1編「ああ、幸いなるかな」 四重唱
詩編歌138編「心をつくして」第1節 四重唱 オルガン
半音階的ファンタジア オルガン
詩編歌23編「主は牧者にましませば」第1節 斉唱
詩編歌23編「主は牧者にましませば」第1節 四重唱
詩編歌23編 オルガン
詩編歌121編「山々に向かい」第1節 四重唱
詩編歌24編「地にあるものみな」全5節 会衆讃美
詩編歌24編「地にあるものみな」四重唱
A.van Noordt:詩編歌24編 オルガン
J.P.スウェーリンク
詩編歌134編「主の家に立ちて」 四重唱
詩編歌134編 会衆讃美
声楽アンサンブル:ヴォックス・フマーナ
オルガン:坂倉朗子(さかくら あきこ)