ブリテン没30年(6)テノールとホルンのためのセレナーデ 作品31
2006年 11月 03日
さて、この度、ユニバーサル・ジャパンからリリースされたブリテン没30年記念シリーズでも、この曲が収録されているCDがリリースされるのですが、ブリテン指揮、テノールはピーター・ピアースであるものの、録音が1960年代のステレオということもあり、チェロはデニス・ブレインではなく、バリー・タックウェルであります。まあ、タックウェルも決して悪くは無い、いえいえ、なかなかのヴぃルトゥオーゾなんですが、やっぱり、ここは、デニス・ブレインで聴いてみたいところですね。

デニス・ブレインは、どうやら、この曲を2度セッション録音されているようですが、そのうちの一つ、ユージン・グーセンス指揮ニュー・シンフォニー・オーケストラによるもの(CDとしては最初のリリース)がイリュミナシオンなどとカップリングされているもの(デッカ)がCDショップで出ていますので、一度お聴きになられてはどうでしょうか。冒頭から唸っちゃいました。なお、今なら700円ちょっとという廉価で購入できますので、無くならない内にご購入をお薦めします。ところで、この曲について簡単に。
デニス・ブレインの吹く不思議なプロローグとエピローグは六つの歌曲を挿みます。これはブリテンが好んで用いた「ファンファーレ」の一例で、「イリュミナシオン」冒頭のように元気のよいものもあれば、この「セレナード」のようにまるで、鎮魂のためのように響くものもあります。
冒頭では、弦が弾けるように歌う中、テノールが聳え立つ峰や太陽の美しさを賛えるように歌い、ホルンのこだまがそれに答えるのであります。
テノールとホルンの掛け合いで、「消え行く、消え行く、消え行く...」(Dying,Dying,Dying...)がそれに続きますが、歌声と一緒にホルンもデクレッシェンドで消え行くところなんて、美しい自然を鳥瞰しているようで大変印象的ですね。
なお、いつものことながら、この曲で使われている詩がまた良いのであります。プロローグに続いて、「Pastral(詩:コットン)」・「Nocturne(詩:テニスン)」・「Elegy(詩:ブレイク)」・「Dirge(詩:15世紀読み人しらず)」「Hymn(詩:ジョンソン)」・「Sonnet(詩:キーツ)」と続きますが、是非とも、詩を味わいながらこの曲を聴いて欲しいところであります。イギリスの大詩人たちの詩をブリテンがどう料理しているか、ぜひお確かめ下さい。いろいろな発見があるはずです。

