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たんぶーらんの戯言

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by てつわんこ
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鐘に因んだクラシック(5)ラヴェル「鐘の谷」、ドビュッシー「沈める寺」

前回のレスピーギの「ローマの鐘」(笑)に引き続き、今回は、パリの鐘とお約束していたのですが、盟友円海山様がブルターニュのケルトの鐘やラヴェルの鐘などを取り上げていただいた由、関連させて一筆したためようといたします。ついては、パリの鐘については、また次回ということにさせていただくことといたします。

とはいうものの、ケルトの鐘やラヴェルの鐘も全くパリと関係が皆無というわけではありません。

1.先ず、ラヴェルの鐘より、「鏡」から「鐘の谷」。「招き猫」の最終局面でもスレが挙がっておりました芸術サークル「アパッシュ」の一員となっていた作曲家モーリス・ドラージュに献呈された曲だそうな。

等間隔で奏される鐘の音色を体位法的にあしらった曲構成でして、「耳で聴く風景」の「鐘の鳴る中で」(1897年)を下敷きに構想された作品と考えられているようです。なお、ラヴェルによれば、この曲は「正午にいっせいに鳴り響く、あちこちのパリの教会の鐘の音によって感興を催した」とのことですが・・・

確かに、パリの日曜日の午前からお昼までは、いつもの喧騒が嘘のように静かでございまして、まるで息を凝らしているようなのであります。なにかしら、パリに居ることを忘れてしまうような気になるのであります。そして、正午になりパリのあちらこちらの教会で鐘が鳴り響き、共鳴し、響きが溶け合うのであります。そして、人々が教会に赴いて、それからですね、パリが目を覚ましたように賑やかになるのは・・・。ですから、多分、私の推測ですが、「正午いっせいに鳴り響く」のは日曜日のパリに違いないと思うのであります。

ラヴェルの「鏡の谷」はフランス語で"La vallée des cloches"と一つの鐘ではなく、複数の鐘が鳴り響いていることになっています。もちろん、パリに「谷」のような地形はなく、静かに鐘が鳴り響く日曜日のパリの中で、ラヴェルさんは静かに眼を閉じて、遠いどこかの「谷」で鐘が鳴り響く状況を思い浮かべたのでありましょう

2 お次はドビュッシーの前奏曲第1巻の「沈める寺」。
この曲は円海山様ご指摘ののとおり古きブルターニュのケルトの都市イス伝説に基づくものであります。ところでパリ(paris)という言葉は、列記としたケルト語に由来し、先ず、パリシー人が住み始めたことに由来するのが最有力説ではあるもののpar-is つまり、「イスのような」という意味から派生したとする説もあるそうです。確かに、パリは、シテ島に建つノートル・ダム寺院を中心にして発展した都市であります。分らないでもありませんね。
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ところで、「沈める寺」とはどんな寺院だったかというと、現在のパリのノートル・ダム寺院のようなゴシック建築なんかじゃなくて、英仏間のドーバー海峡両岸に兄弟のように聳え立つノルマンジーのモン・サン・ミッシェルやイングランドのコーンウォールのセント・マイケルズ・マウントを連想しちゃうわけであります。まあ、パリのノートル・ダム寺院もシテという島の上に建っているのは間違いないところですが(笑)。モン・サン・ミッシェルもセント・マイケルズ・マウントもどちらも干満の激しい海岸の小山のような島に複雑に立てられた寺院であります。けっして、潮が満ちてきて、建物全体が沈んで見えなくなってしまうことは無いのですが(笑)。
それでも、モン・サン・ミッシェルなど、びっくりするスピードで潮が満ちてきて、馬のギャロップのようだと地元の人は形容しておりました。

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  ↑モン・サン・ミッシェル
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  ↑セント・マイケル・マウント

それに、何という聖像か忘れたのですが、ブルターニュのレンヌ近くのサン・マロだったか、潮が引いたときにだけ姿を見せるものがありました。おそらく、そういったものが一体となって「沈める寺」のイメージが出来上がったのではないでしょうか。

ところで、フランス、英国の沈める寺、どちらも日本語に訳すと、聖ミカエル山になります。もともと、どちらもケルトの聖地だったところを、「聖ミカエルのお告げ」かなんだかで、キリスト教の聖地にしちゃったのであります古きいにしえのケルト文明を塗りつぶしてしまった訳ですね。
さて、次回は、パリのちょっと古めの鐘の音をば・・・
by tetsuwanco | 2006-08-22 12:34 | 旬のクラシック | Comments(0)