シンディング:古い様式で書かれた組曲 作品10
2006年 01月 11日
今日、1月11日は、ノルウェーの作曲家、クリスチャン・シンディング(1856~1941)の誕生日であります。彼が1856年生まれですから、ちょうど生誕150年になるようであります。彼は、ノルウェーの生んだ偉大な作曲家グリーグの後継者と目される作曲家であったのですが、最近、彼の作品で演奏される機会に恵まれているものといえば、情緒豊かな情景を描いているピアノ曲「春のささやき」ぐらいのもの。そのほかにも、4つの交響曲、3つのヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲、歌劇など幅広い作品群を残しているようですね。シンディングは後期ロマン派の作曲家に属し、生存中は大変著名で、作品も評価されていたのですが、1941年の彼の死とともにその評価が急激に下がったとのこと。おそらく、無調の反ロマン主義の影響が強くなってきたことに加え、生前に独自の新しいスタイルを確立していなかった所以ではないでしょうか。彼の交響曲なんかを聴いてみるとそんな気がします。
ところで、個人的に、彼の作品で「春のささやき」とともに面白いと思うのが、「古い様式で書かれた組曲 作品10」であります。このヴァイオリン曲は、小規模ながら技巧と品格、そしてメランコリックな情緒を兼ね備えているのですが、ヴァイオリンの巨匠ヤッシャ・ハイフェッツが彼のレパートリーに取り入れております。ヘニング・クラゲルードというノルウェーのヴァイオリニストがナクソスに録音を残しているのですが、なかなか凛とした演奏でお薦めです。
3つの楽章から成り立つこの組曲は、タイトル通り、シンディングが意味するところの古い様式(=バロック・スタイル)で書かれています。
第1楽章では、バロック時代の典型的な和声の進行に基づいた絶えまない動きが終始見られますが、彼はこれらの和声の多くをロマン派の音楽的気質を表すかのように装飾が加えられています。
第2楽章では、優しさと温かさが溢れ出て、ロマン派の気質が一層深みを増しています。
第3楽章は、踊っているような雰囲気はあるものの、快活さは感じさせません。冒頭のバロック風のメロディーが印象的なのですが、すぐにロマン派的なメロディーが現れます。

