ファーブル美術館所蔵 魅惑の17−19世紀フランス絵画展(3)アレクサンドル・カバネル
2005年 11月 27日

彼のプロフィールを極簡単に記しますと次のようになるでしょうか。
モンペリエに生まれ、エコール・デ・ボザールに入学。当時の画家としてのエリートコースを進み、1845年ローマ賞を受賞、5年間イタリアに滞在。フランスに戻り、ナポレオン3世と、皇妃ウジェーニの庇護を受け、公的な注文を多数受注。ところで、再評価の動きはあるものの、当時の評価から比べると、これほど評価の下がった人も珍しいように思います。
確かに、反権力サイドにいた印象派のマネ、写実主義のクールベなどから、格好の標的になりやすいポジションに彼がいたこともあるでしょうが、印象派、写実主義が社会的に認知されるに至り、彼の一般的評価も相対的に下がっていったということなのでしょう。
さて、私、個人的にはどうかといいますと、その芸術性云々を別として、あまり好きではありません。
たとえば、彼の代表作であります、「ヴィーナスの誕生」。

「理想化された神話の女神が、並みの上に横たわり、物憂げな官能性に溢れた作品」といえば、差し支えないのでしょうが(笑)。
確かに、この絵は美しいと思いますが。私には、うすっぺらい表面的なものに目に写るのです。また「下品さ」と隣り合わせとなっている美にも思えるのです。この絵は、美の女神ヴィーナスとかわいい天使のようなキューピッドが描かれている絵なのですが、キューピッドといえば聞こえはいいけれど、エロスでしょ。それに、ヴィーナス(アフロディーテ)というのは、ウラノスの切断されたペニスから出た「泡(=スペルマ)」から生まれたそうです。ですから、ある意味、この絵は、エロティックさ、あるいは「下品さ」を内在した、「正しい絵」なのかもしれませんけれど。
ヴィーナスには、神聖な愛を具現した女神としての側面と淫らな欲情を表現した側面との2面性を持っており、この絵は、その2面性をよく表現しているというと皮肉になりますでしょうか。

