ルーヴル美術館展(3)ジャン・アントワーヌ・グロ:アルコレ橋上のボナパルト将軍
2005年 09月 29日

彼は、皇妃ジョセフィーヌを通じて、ナポレオンの寵愛を受けることになり、
ナポレオンの武勲を伝える絵の数々を描きました。今回展示されていたアルコレ橋上のボナパルト将軍もその一つですね。
そして、この「アルコレ橋上~」は、ルーブル以外にも、エルミタージュ美術館にも収蔵されております。おそらく、ナポレオンは、ブルボン家のルイ14世のように、お気に入りの肖像画を複数毎、書かせたのでしょうが、グロ自身の本意ではなかったでしょう。
ナポレオンが失脚し、ダヴィッドがブリュッセルに亡命してからは、新古典主義の指導者として活躍し、男爵の称号まで得ました。
というより、その栄誉の代償に、新古典主義を背負って立つという立場に立たざるを得なくなったのであります。
もともと、グロ自身はロマン派的な資質を内在しており、その芸術的葛藤に悩みました。無理に古典派風に描いたりしたのですが、評判は芳しくなかったようです。
最後は、セーヌ川で入水自殺に追いやられてしまうのであります。
結局、師匠のダヴィッドと同様彼も、不幸にも、政治の流れに翻弄されてしまったわけであります。