女優、園井恵子さんについて
2005年 08月 06日
園井さん(本名袴田トミ)は1929年、宝塚少女歌劇団(現宝塚歌劇団)に入団、演技派として活躍し、41年に退団。「無法松」で主役の阪東妻三郎演じる無法松がひそかに慕う吉岡大尉夫人役を演じました。宝塚出身で新劇「苦楽座」にはいった女優園井恵子は、昭和18年の大映映画『無法松の一生』で阪妻の相手役吉岡夫人として起用され、その凛として優雅な姿は観客をうならせました。
大映はただちに専属契約の話を持ち出したそうですが、園井は「折角ですが、私はまだ当分、苦楽座の人たちと舞台の修行をいたしたいと」とことわったそうです。ですから、このとき彼女がもし、大映の専属となり、苦楽座から去っていたなら、広島の原爆死はなかったことになります。
その後、移動演劇隊「桜隊」に参加。巡業中に広島市で被爆した。園井さんは神戸・六甲の支援者宅に避難。当初元気で、敗戦を知って「思う存分芝居ができる」と喜んでいたが、次第に衰弱して亡くなったそうです。被爆した同隊の9人は全員死亡。園井さん出演の映画で、現存するフィルムは数本しかありません。
なお、彼女を含めた「桜隊」を扱った映画として、「桜隊散る」、「黒い雨」などがありますね。
原爆自体の風化が進む中、彼女についても、心に留めていただきたいと考えております。
↑無法松の一生における園井恵子 無法松は坂東妻三郎 子役は長門博之!