大覚寺節分会(2)身振り狂言「十王堂」
2020年 02月 05日

尼崎の寺町の大覚寺には、平家物語の伝来にかかわる文書や、琵琶法師ゆかりの弁天堂が残っており、明治10年(1877年)に焼失した十王堂も琵琶法師をまつったものでした。
例年2月3日の節分に、豆まきに加え「大覚寺狂言」が上演されます。
鰐口の鉦と締め太鼓の音を伴奏に、セリフなしで身振りだけで演じられます。起源は大覚寺文書の中に、天保11年(1840年)に狂言が奉納されていた記録があることが契機となり、幕末から明治にかけて途絶えていた身振り狂言の復活を望む有志が、無言狂言「壬生大念仏狂言」で有名な壬生寺の協力を得て、昭和28年の節分から復活させました。
演目の一つである「十王堂」を拝見しました。その内容は・・・
かつて大覚寺の境内の一郭に、閻魔大王以下の十王を祀るお堂「十王堂」がありました・・・船を逃して困っていた琵琶法師を騙し、金と命を奪った海賊夫婦が、今度は自分達の子どもの命を琵琶法師の恨みが起こした波によって奪われてしまいます。子を失って改心した海賊夫婦は、我が子と琵琶法師の追善供養の為に、琵琶法師の集まる寺だった大覚寺に「悪事を善事に変える」閻魔大王をはじめとした十王を祀るお堂を建立します。 この伝説をもとに作られた創作狂言「十王堂」では、海賊を宿屋の主に替え、金を 奪われた琵琶法師が、人買いに攫われてしまった件の宿屋の息子を弁才天の力によって救いだし、最後に宿屋の主人が琵琶法師の勧めによって、かつて法師から奪った金で十王堂を建立するというもの。