ミラクル・エッシャー展 @あべのハルカス美術館
2019年 01月 06日
「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」で知られる20世紀を代表する奇想の版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャ-(1898-1972)の美術展「生誕120年 イスラエル博物館所蔵ミラクル・エッシャー展」に足を運んでいました。
コンピュータのない時代に緻密かつ独創的な数々の版画作品を世に送り出したことは確かに「ミラクル」と言って差し支え無いでしょう。彼のミラクルな作品は、画家といった狭い範疇のみならず、数学者や建築家といった幅広い専門家やクリエイターに影響を与えたことは周知のとおり。
生誕120年を記念し開催する本展では、世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から選りすぐりの約150点を日本初公開。実際にありそうで現実には存在し得ない《相対性》など代表作のほか、初期の作品や木版、直筆のドローイングなどから、エッシャーが唯一無二と評される作品を生み出す過程を、「科学」「聖書」「風景」「人物」「広告」「技法」「反射」「錯視」の8つのキーワードを通じて紐解いていくという趣向となっています。
エッシャーというと錯覚を利用した「だまし絵」や、数学的・工学的アプローチの作品が思い出されるところですが、今までそのようなジャンルの作品ばかり見てきたこともり、むしろ、彼の作品に影響を与えたとされるアマルフィ海岸などイタリアの風景画、人物画(自画像)が、新鮮で、印象に残りました。