
今回のガレ展で最も印象に残ったのは、オルセー美術館所蔵のガラス彫刻「手」(1904年)でした。
友人や父親と次々に死別。精神的疲労の中で白血病になり、自分の死期が近いのを感じながら最晩年に創造された「手」。
海底から引き揚げられた古代の難破船に積まれていた彫刻の断片をイメージしたものだろうと言われています。
自分の命が残りわずかと気づき、はじめて自分の作品を作るようになりました。
このオブジェを作るまで、ガレは、花瓶などの実用的作品以外は作ったことはなかったそうです。
おそらく、この「手」は、彼の遺言状でしょう。