尾道・福山旅行(4)爽籟軒庭園 @尾道市久保町
2015年 11月 27日

開園されるのが、土日限定ということや、千光寺などの尾道の一般的観光地からルート的に孤立していることによるのかなあと思うのですが、浄土寺ともほど近くで、入園料もたった100円。充分立ち寄る価値ありだと思いますよ。

爽籟軒(そうらいけん)は、代々町年寄を務め、田能村竹田、菅茶山ら多くの文人墨客と交友し、頼山陽や本因坊秀策を支えたことで知られている江戸時代の豪商橋本家(加登灰屋)の別荘だったところ。また、橋本家は、重要文化財浄土寺方丈建立(1690年)をはじめ、神社仏閣への寄進や、飢饉に際して慈善事業(1834年慈観寺本堂建立)を行い、更に1878年には県内初の銀行である第六十六国立銀行(現広島銀行)の創業、尾道商業会議所の創設(1892年)など、近代産業や諸機関の普及、育成に尽力しています。

爽籟軒庭園は、腰掛待合から南北に続く長い露地や築山と共に、中央部東西へ池並びに茶室を配して構成され、多くの樹木とともに築庭されています。庭園築庭時期は江戸期と推定され、築庭者は真宗僧木翁、或いは小堀遠州とも伝えられているとか。

露地及び踏石は、池を境に南北の意匠が異なっています。特に南端踏石は、爽籟軒船着場を利用した客人を迎える場として、長石が廊下のように造作されています。このほか、腰掛待合西側の築山西面部石組は、複雑な断面細工を施し垂直に積み上げられているなど、かなり凝っていますね。決して派手さはありませんが、心安まる寛ぎの空間となっています。

茶室は、庵号を明喜庵とし、京都山崎にある国宝妙喜庵待庵の写し、二畳隅炉茶室とともに、四畳半茶室の二席を有しています。
◆爽籟軒
庭園管理者 尾道市教育委員会文化振興課文化財係
住所 尾道市久保町2-6-6
TEL 0848)25-7367
開園 土・日曜・祝祭日・1月2日・3日
開園時間 10:00〜17:00(4/1〜10/31)
10:00〜16:00(11/1〜3/31)

