先生と迷い猫
2015年 10月 23日

▽この映画を見て思い出すのがフランス映画「猫が行方不明」。愛らしく洒落たフランス映画らしい体裁を装いつつ、その実、さまざまな人種が気づかぬうちにも肩を寄せ合い生きる、大都市の現実をしっかりと捉えた私最愛の映画の一つ。

「先生と迷い猫」をさらっと説明すると、「校長先生の家に、毎朝やってくる三毛猫・ミイ。 ある日突然来なくなったミイを探しに、町に出かけた堅物の元校長先生がみつけたのは、あたたかい町の人たちと先立たれた妻への愛」ということになるんでしょうか。ただ、「猫が行方不明」で、現実社会が浮き彫りにされるのと同様、この映画でも、人口減少社会の到来により過疎化が進み、非常に危うい状況に直面しているということをさりげなく触れられています。
老齢者問題、いじめ、崩壊する家族等々・・・
明るい方向で映画は終わっていますが、そう問題は簡単ではありません。
迷っているのは、実は猫ではなく、現実社会の中で生きる人間様のほうだったりして。
▽ロケ地は伊豆の下田、河津あたり。川端康成先生が「伊豆の踊子」を執筆した旅館「福田家」さん前なんかも登場しています。また、足を運びたくなりました。確かに、下田で結構猫たちを見かけた記憶・・・。因みに、川端康成先生は犬派でした。

▽なお、この映画で名演技をみせてくれた三毛猫のドロップ。この猫は、あの「あまちゃん」で、あまちゃんのおばあちゃん天野 夏が飼っていた猫役(笑)を演じていました。夏ばあが倒れたときの名演技も忘れることができません(笑)。


▽猫に優しい町は住み心地がいいというのは本当だと思う。この映画のみいのように、知らず知らずのうちに、人と人とを結びつけたりしたりします。
▽「ヨソで死んでくれ」と行った頑固な年寄りが、「猫は死んだ姿をさらさないために姿をくらます」(だったかな)という言葉に、思わずムッとするその変貌ぶりが印象的でした。