ルーヴル美術館展(4)ジャン・シメオン・シャルダン「買い物帰りの召使い」
2015年 07月 11日
買い物帰りの召使い1739年
私は、シャルダンが好きだ。18世紀ロココ様式隆盛期のなか、農夫や女中などの庶民の温もりと優しさに溢れた静謐な場面描写がたまりません。
この時代、他の誰も描けなかった詩情あふれる作品は彼ならではでしょう。
女中は、右手では夕食の材料と思われる食材が入った袋を手にしていますが、その表情は、ほっと一息ついているかのような帰宅後の安堵を感じさせます。
彼の風俗画としては、同じくルーヴル所蔵の《食前の祈り》(1740年)、そしてロンドン。ナショナル・ギャラリー所蔵の「女教師」とともに、3大傑作だと思っています。
描かれた人々の優しいまなざしは、画家シャルダンの人々に対する優しいまなざしでもあります。