ルーヴル美術館展(1)ジョゼフ=マリー・ヴィアン「アモルを売る女」
2015年 07月 08日

ルーヴル美術館のコレクションからの83点を通して、16 世紀から19 世紀半ばまでのヨーロッパ風俗画の展開をたどるという趣旨。
本展は、17世紀オランダを代表する画家、フェルメールの傑作《天文学者》が初来日するほか、ティツィアーノ、レンブラント、ルーベンス、ムリーリョ、ル・ナン兄弟、ヴァトー、ブーシェ、シャルダン、ドラクロワ、ミレーなど各国・各時代を代表する巨匠たちの作品が展示されているのですが、若干渋めかな。
「風俗画」というジャンル分け自体、一般的にわかりづらいし・・・
風俗画には必ずしもありのままの現実が描かれているわけではなく、日常の装いのなかに、複雑な道徳的・教訓的な意味が込められていることもあり、そのあたりをフォーカスしていくと楽しめるんじゃないかと思います。
展覧会の構成
プロローグⅠ 「すでに、古代において・・・」風俗画の起源
プロローグⅡ 絵画のジャンル
1章 「労働と日々」?商人、働く人々、農民
2章 日常生活の寓意―風俗描写を超えて
3章 雅なる情景―日常生活における恋愛遊戯
4章 日常生活における自然?田園的・牧歌的風景と風俗的情景
5章 室内の女性―日常生活における女性
6章 アトリエの芸術家
そんな今回の「玄人受け」するルーヴル美術館展ですが、とっぱしにお目にかかるのがこのが、ジョゼフ=マリー・ヴィアン「アモルを売る女」(1763年)です。

「アモル」って何? 「アヒルを売る女」のミスプリではないか(笑)と思いきや・・・「アモル」とはつまるところ、キューピッドですね。そして、又の名を「エロス」。
さすがに、「エロスを売る女」とはできなかったでしょうが、「エロス」をさりげなく題材にしているわけ。だから、新古典派は真面目そうで怖い(笑)。
個人的には、ルーヴル美術館の誇る「珍品」の類いだと思うのですが、それは、さすがフランスの新古典派の創始者的存在であるジョゼフ=マリー・ヴィアンの代表作と目される作品。ある意味完璧。

