松尾大社 松風苑(上古の庭・曲水の庭)
2015年 06月 28日

重森美玲氏というと、中根金作と並ぶ昭和の作庭家。
東福寺方丈庭園に代表されるように、力強い石組みとモダンな苔の地割りで構成される枯山水庭園が特徴的。京都の日本庭園で岩を寝かすのではなく、わざわざ縦に立たせていたりすると、「ああ、やっぱり、そうだった」と、彼の作庭だったりすることが多い様に思われます。
何気に、イギリスのストーンサークルにも見えてきたりします。
どちらかというと、彼の作庭のもので安らぎを覚えるものは、そう多くなく、私の好みも、彼らしくない、東福寺塔頭の光明院の波心庭などが好み。
松尾大社のお庭は、どちらかというと、彼らしい男性的な石組みで代表される、いかにも重森美玲の庭と言った感じですし、上古、平安、鎌倉のそれぞれの庭園文化を題材としているところも、日本庭園研究家としても名を馳せた面目躍如残といった感じ。紛れもなく、彼の代表作の一つで違いないでしょうね。
当松尾大社の松風苑三庭は、上古(じょうこ)の庭、曲水(きょくすい)の庭、蓬莱(ほうらい)の庭の三庭園で構成されていますが、蓬莱の庭のみ、離れたところに位置しています。
◆ 上古の庭

上古の時代には、どの場所にも神社も社殿もなく、山中の巨岩などが神霊のやどる聖地を磐座(いわくら)と言うのですが、松尾大社でも、現在地に御本殿が建てられる以前は、神社後方の松尾山々中頂上近くにある磐座で祭祀が営まれていたとか。そのこの古代祭祀の場である磐座を模して造られたのがこの庭だとか。
庭の奥、中央に巨岩二つは、当神社ご祭神の男女二柱を、ミヤコザサは人の立ち入れない高山の趣きを、そしてこれを取り巻く多数の石は、随従する諸神の姿をそれぞれ巨岩によって象徴しているそうです。
◆曲水(きょくすい)の庭


曲水の庭は、王朝文化華やかなりし平安貴族の人々が、慣れ親しんだ雅遊の場を表現したもの。


といいつつも、極めて現代風です。

*松風苑三庭のうち、蓬莱の庭についてはまた次に。

