~写真家土門拳の定宿橋本屋~ @室生寺門前
2014年 11月 27日

室生寺の門前に佇む老舗旅館の橋本屋。

室生寺門前の太鼓橋のたもとに位置していることから、室生川をへだてて客室より室生寺境内が一望できるのですが、それのみならず、室生寺の大きな杉の木からこぼれてくるやわらかな老舗の温もりを感じることができます。
室生川に接する窓からはこのような眺め。


室生の里を愛した写真家、土門挙氏はここに泊まって写真を撮り続けていたのですが、最晩年には半身不随の状態でこの旅館に宿泊し、ようやく、今まで撮影できなかった「雪の室生寺」を執念で撮影するのに成功するのであります。
土門拳氏は2階の角部屋に泊まることを常としていたそうですが、さすがに、晩年、脳梗塞をわずらい、体が不自由になってからは、1階の小部屋で泊まっておられたそうです。
旅館には、土門拳さんの写真や色紙のほか、橋本屋を訪問した文人たちの色紙も2階廊下の壁などに掲げられています。






これは円地文子さんと瀬戸内晴美(寂聴)さんの色紙です。訪問されたのが5月なので、しゃくなげをご覧になったのでしょうね。

師弟関係にあるこのお二人は、ともに源氏物語を翻訳されている訳ですが、女人高野・室生寺を一緒に訪問されていたというのは非常に興味深い話です。
