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カスパー・ダーヴィト・フリードリヒと自然に対する畏敬

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒと自然に対する畏敬_b0063958_94458100.gif←フリードリヒ「海上の月の出」










もともと、欧州には、自然は、人間がコントロールして、活用するものという考え方があり、特に、産業革命以降、その傾向が強まったのが19世紀であります。

フリードリヒが生きた19世紀は、英国ではじまった この革命の波が、他のヨーロッパの国々へと、波及していくわけなのですが、もちろん、その流れに対して、バランスをとろうとするムーブメントが起きてまいります。

自然を支配し活用しようとする動きに対し、それに対抗するものとして、自然への畏敬の念が生じるものであり、19世紀の前半、フリードリヒは、この畏敬の念を絵画にした、近代ヨーロッパで最初の画家の一人として評価されております。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒと自然に対する畏敬_b0063958_9483738.jpg←フリードリヒ「月明かりの急流」










日本というおおらかな多神教社会であれば、アニメズムや山岳信仰などの自然崇拝などが並存、あるいは共存しあうのですが、欧州のキリスト教一神教社会においては、ケルトのような非キリスト教的思想は、根絶やしにされ、発展して参りませんでした。ですから、太陽、月、樹木、などの自然に対する畏敬の念を主題にした美術は、生まれてこなかったのであります。
なお、自然に対する畏敬の念は、クラシック音楽の世界にも反映されてまいります。

例えば、ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」。1801年に作曲されたこの曲は、単に《幻想風ソナタ》と記されていたにすぎなかったのですが、この曲に「月光」というタイトルを付けた、ロマン派の詩人ルートヴィヒ・レルシュタープは、「このソナタは、月明かりのなか、湖の素朴な風景のなかをただよう一艘の小舟」を表していると勝手に言っちゃいました(笑)。これも、当時の自然への畏敬の念にかかる潮流と無関係ではないはずであります。

また、シューマンの「リーダークライス 作品39」。この作品は、シューマンがハイネとともに最も敬愛したアイヘェンドルフの詩による12の歌曲からなります(12の歌曲は、順に、「異郷で」、「間奏曲」、「森の対話」、「静けさ」、「月の夜」、「美しき異郷」、「古城で」、「異郷で」、「憂い」、「たそがれ」、「森で」、「春の夜」)が、その中でも、
「木々の梢は、ふるえ、ざわめく。まるで古代の神々が、崩れかかった城壁の周りを取り巻いているようで不気味だ」(「美しい異郷」より)

「月光の降り注ぐ夜には、眼下の谷間に城が見えるような気がしてならないのだ。それも、遠い、かなたに」(「異国で」より)


などは、フリードリヒの絵画をついつい連想してしまいます。
by tetsuwanco | 2005-03-27 09:32 | アート

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by てつわんこ
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