飛鳥川(明日香川)のほとりの彼岸花 @明日香村・稲渕
2014年 09月 28日

飛鳥川(もしくは明日香川)は、高市郡高取山を源流として、稲淵山(いなぶちやま)の西を通り、甘樫の丘、藤原宮の側を通って、大和川に流れている文字通り、飛鳥(明日香)を流れる川です。
飛鳥川を詠んだ歌は、万葉集に23首あるそうですが、稲渕を流れる飛鳥川には、日本百名橋の番外として選ばれている「飛鳥の岩橋」があって、万葉集にもその岩橋が次のとおり詠まれています。
「明日香川 明日も渡らむ 石橋の 遠き心は 思ほえぬかも」(巻11-2701)
「年月も いまだ経なくに 明日香川 瀬々ゆ渡しし 石橋もなし」(万葉集巻7・1126)
それ以外にも柿本人麻呂が明日香皇女が亡くなった際の挽歌の長歌が有名なのですが、長いので省略(笑)。
その石橋を不覚にも写真に残し忘れてしまったのですが、そのあたりは、これぞ、万葉集に詠まれる飛鳥川のイメージそのもの。
ちょうど、彼岸花が見頃となって、万葉の景観に彩りを添えていました。

ところで、万葉集の中に壱師(いちし)という花を詠ったものがあり、その壱師(いちし)の花が実際にどんな花かわかららないものの、彼岸花だというのが有力説だそうです。

「 道の辺(へ)の 壱師の花の いちしろく 人皆(ひとみな)知りぬ 我(あ)が 恋妻は 」(巻11の2480 柿本人麻呂歌集)

つまり、ほとんど、万葉の時代には、彼岸花の花についてはあまり、歌として取り上げられていないとのことになります。

(撮影:9月20日)