バルラッハと円空
2005年 03月 21日

私は、円空というと夏目漱石の「夢十夜」の中の「運慶」の話を思い出すのであります。夢の中で漱石は、「彫刻というものは、木や石から彫刻を創りだすのではなく、埋もれていたものを掘り起こすものだということを悟った。」というようなことを書いてますね。円空の仏様も、無心になって木の中から掘り起こしたものなのでしょう。円空の素朴ななかに潜む「慈愛」の美の秘密はそこにあるような気がいたします。
そして、フンメルさんが紹介されているバルラッハにも円空仏とも何か共通点を感じるのであります。
ひょっとして、ドイツの歴史の中で、実は多くのバルラッハが、木や石の中から多くの素晴らしいモノを掘り起こしてきたのでありましょう。
おそらく、当時のナチスは、彼のみならず、ドイツの歴史からバルラッハ的なものを抹殺したかったのかもしれませんね。また、バルラッハのこころに触れたくなってきました。