神戸のミシュラン一つ星「割烹 紫匂」でフグをいただく
2013年 12月 28日
「紫匂」さんはミシュラン一つ星の名店。巷では、安くて、それなりに美味いフグをいただけるお店が増えていますが、このお店では、丁寧で、ご主人の料理人としての技も堪能できるトラフグのコースをいただけます。
先ずは、先付として、鉄皮・叩き・湯引がセットが出て参りました。お酒は、喜兵衛のぬる燗をいただきました。
鉄皮(てっぴ)は、フグの皮をさっと湯がいて冷水にとり、細くスライスしたもの。コラーゲンがたくさん含まれていて吉! もちろん、こりこりした食感がたまりません。でも、その皮を食べられるようにするには、鮫皮引きという皮にある無数の棘を取り除く作業が必要となっています。
フグの叩きです。
外は香ばしく中はしっとりとした食感と旨味を十分に堪能できました。
フグの湯引き
フグで湯引きというと、「鉄皮」をすぐ連想しましけど、フグの身の方の湯引きも捨てがたいものがあります。さっと湯を通したという感じですから、フグのしゃぶしゃぶといった風情でしょうか。
そして、「てっさ」。鉄砲のように毒に当るということでてっぽうと呼ばれるふぐの刺身だから「てっさ」ですね。よく、菊一文字とか菊盛りとか言われますが、こちらのご主人の技が凄すぎて、あまりの薄さに有田焼のお皿の絵が浮き出て、お皿の上には何も乗っていないように見えちゃいます(笑)。まさに名人芸です。フグは分厚い方が美味いという人もいるけど、淡泊ですが存在感のある食感から、私は、薄く引いた刺身の方がより美味しくいただけるように思えます。その方がより繊細。
このあと、焼き白子が登場。これがコースに無いと、ちょっとがっかりするのは、正直本音ですね。あの日本映画「おくりびと」でも、焼き白子が登場しますね。あの映画のあのシーン実においしそうで印象的。
さっと焦がした表面から、とろとろの中身がぷちゅっと出てくるのですが、なんと表現すべきか。やっぱり「筆舌に尽くしがたい」としか言いようがありません。
このあたりから、「ぬる燗」からヒレ酒へバトンタッチ。ヒレは二枚に割き、2、3日水に浸けて完全に血抜きをした後、天日にて乾燥させます。この血抜きが不完全であると生臭いものとなってしまいます。ヒレはこんがりと狐色に焼いて、超熱燗を注いで戴きます。香りも味も最高でした。少しでも質が悪いと生臭くなるのがヒレ酒の怖いところ。
そして、いよいよてっちり(ふぐ鍋)です。
ゼラチン質の多い目や口まわりのいわゆるアラ、そして骨の少ない身の部分など、同じフグの身でも味わいが違いを楽しめるのがてっちりのいいところ。
てっちりが煮立つ前に唐揚げ。ほくほくしてこれもまた良し。
さあ、てっちりをいただきます。フグの旨みが豆腐などに移ってこれまた、いとよろし。
てっちりを食べ終わると、競馬でいうところの最終コーナー、「ふぐ雑炊」。魚くささは皆無。ふぐの淡泊な上品なお出しに生姜が効いて本当に美味。〆にこれが無いと、収まりが付きません。
そしてデザートでおしまい。
おいしくいただきました。
ごちそうさまでした。