大澤壽人「ピアノ協奏曲第3番「神風」」ほか
2005年 02月 22日
Schweizer_Musik様が、大澤壽人のNAXOS盤を取り上げておられますし、先日ご紹介した大阪いずみホールでの大澤氏の「神風」も取り上げられた演奏会についても、コメントをさぼっておりましたところ、感想を述べさせていただきたいと思います。
さて、プログラムは、以前ご紹介したとおり、大栗裕「大阪俗謡による幻想曲」、貴志康一「交響組曲「日本スケッチ」全4曲ー市場/夜曲/面/祭り」、大澤壽人「ピアノ協奏曲第3番 変イ長調「神風協奏曲」」の3曲。指揮は飯守泰次郎、ピアノ演奏は迫昭嘉、演奏は関西フィルハーモニー管弦楽団。
◇大栗裕「大阪俗謡による幻想曲」
NAXOS盤の演奏も、今回の演奏も、正直なところ、平面的でおとなしい演奏でありまして、あまり私好みの演奏ではありませんでした。かなり前(20年以上前)、この曲を、朝比奈隆&大フィルで聴いたことがあったのですが、私にとっては、その演奏がベスト。朝比奈さんが、1950年代に神戸で初演した作品であり、しかも、朝比奈さんがベルリン・フィルとの初共演の時にも、「大阪俗謡・・・」を取り上げたことから考えて、朝比奈さんも、この曲に対して愛着を感じておられたのではないでしょうか。ベルリン・フィルの連中も、この東洋の楽曲を楽しんで演奏したようで、初練習後、一斉に歓声をあげたそうであります。
朝比奈さんの演奏は、いかにも「浪花」らしい、いきいきとした演奏なのですが、ナクソス盤にしても、今回の演奏にしても「浪花のバルトーク」と呼ばれた、バーバリズムに彩られた大阪の民族性(笑)豊かな演奏ではなかったところ、ちょっと残念でありました。
◇貴志康一「交響組曲「日本スケッチ」
この曲については、今まで通しで聴いたことがなかったので、コメントは差し控えたいと思います。ただ、正直なところ、昨年、芦屋ルナホールで聴きました彼のバレエ音楽「天の岩戸」(世界初演)の方が、ずっと面白かったと感じております。お聴きになる機会があれば、是非ともどうぞ。八木節を彷彿とさせるところもあったりして・・・。

◇大澤壽人「ピアノ協奏曲第3番 変イ長調「神風協奏曲」
当日の目玉は、やはり、大澤さん「ピアノ協奏曲第3番 変イ長調「神風協奏曲」でありました。オケについては、NAXOS盤のロシア・フィルハーモニー管弦楽団、ドミトリ・ヤブロンスキー指揮に比べると、まあしかたがないかなという出来でありました。決して悪くなかったですが。
ただ、ピアノの迫氏の演奏が素晴らしかったですね。彼のピアノははじめてだったのですが、彼のピアノが、オケを引っ張っているというのがはっきりわかりました。

◇ところで・・・
貴志康一氏は甲南高校、大澤壽人氏は、関西学院ということで、私の地元ゆかりの人物なんですが、実際のところ、あまり存じ上げませんでした。大澤氏に至っては、大学の先輩にも関わらず、昨年のNAXOS盤で始めて知ったほどであります。
最近になって、貴志作品については、CDを集めたり、演奏会があれば足を運ぶようにしておりますが、「神風」を除いて、大澤さんの作品が取り上げられる機会なかなか無いですね。
なお、今年の秋には、兵庫県が、西宮の地に芸術文化ホールという複合型の大規模がオープンさせるのですが、プログラムを見るに、彼ら、地元ゆかりの作曲家の作品が一つも取り上げられていないのであります。
兵庫県という「自治体」のホールであれば、地元の音楽家を取り上げ、地方から情報発信を図るべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
ちなみに、今から15年ほど前、兵庫県域の音楽家団体トップが兵庫県のクラシック音楽史について執筆した書籍には、貴志康一の名前が出てくるのは、一ヶ所のみ、大澤氏にいたっては、全く登場いたしません!
地元でも、この程度のものであり、全く恥ずかしい次第であります。
私のブログも神戸・阪神地域芸術文化情報と題し、クラシックを中心に情報発信すると銘打っていることからも、この2人については、積極的に取り上げていきたいと思っております。