中将姫伝説の寺石光寺の「牡丹庭園」
2013年 04月 27日
大和路の二上山のふもとにあり、中将姫伝説、牡丹の寺として知られている石光寺。
近くには、やはり牡丹の寺で有名な当麻寺があり、是非とも併せて石光寺も訪問されることをお勧めします。
境内には約500種類、3000株もの牡丹が植えられ、初夏には百花爛漫のにぎわいを見せてくれます。
二上山を背景に牡丹の咲き乱れる様は格別。牡丹はもともと薬用として中国から伝えられ、古くから石光寺に植えられていたとのこと。
門をくぐると品のよい松と紅白の牡丹の花が出迎えてくれてくれます。
灯篭や石塔が配置され牡丹が適度な間隔で咲いており、落ち着いた庭となっています。
建物を回りこむように奥へ進むと意外と懐が深いのにびっくりされるかもしれません。
寺としてはそう広くはないものの、建物の周りをうまく庭として活用。建物と牡丹との調和がうまく配慮されています。
当麻寺の牡丹は、単にスペースに牡丹を植えているという感じなのに、石光寺のお庭は、牡丹が庭や建物に調和し、あたかも「牡丹庭園」とも名づけたくなる風情です。
建物と牡丹、灯篭と牡丹、土塀と牡丹などなど、いろいろなパターンを作ってくれていて写真愛好家としては大変うれしい演出。
おそらく、庭からだけではなく、建物の中から見ても美しい牡丹の姿を拝めるのではないでしょうか。そのあたり充分配慮されているのが見受けられます。
寺の起源をさかのぼると、天智天皇の時代にこの地に光を放つ三つの石があり、弥勒三尊の石仏が現れた。そこで天皇の勅願によって堂宇を建立し、「石光寺」の名を賜って役行者が開山したのが始まりとされているとのこと。現在では金堂の跡に弥勒堂が建てられ、弥勒仏の一部が祭られています。
また、当麻曼荼羅で知られる中将姫ゆかり寺で、「染の井」と「糸掛桜」があります。これは、中将姫が曼荼羅を織るために蓮の茎を集めて糸を採り、それを水に浸したところ五色に染まった、という伝説の場所で、庭にある井戸を「染の井」、傍らの桜の枝を「糸掛け桜」というそうです。
現在の桜はオリジナルではありませんが、盛りの頃は大層みごとなのでしょうね。名残の桜をほんの少し拝見することができました。
また、今回よりやや早め、桜の咲く頃にこのあたりを散策してみたいものです。
(撮影:4月20日)