まんさくの花は咲きましたか?
2012年 02月 28日

関西ではあまり見かけない花ですが、春に他の花に先駆けて咲くので、「まず咲く花」ということでだんだんと、「まんさく」になっていったらしいとのことです。

何気にイソギンチャクのような花です(笑)。

このまんさくを見て、丸山薫さんの詩「白い自由画」を思い出しました。
遅い北国の春の訪れをまんさくの花に託した詩なんですが、丸山薫さんが戦時中、山形県の山村に疎開していた間、小学校の先生として村民と深く馴染み親しんだときのもの。
丸山さんの優しさ、村の子供たちの純朴さがじわっと滲みだしています。
私は子供達に自由画を描かせる
子供達はてんでに絵の具を溶くが
塗る色がなくて 途方に暮れる
ただ まっ白い山の幾重なりと
ただ まっ白い野の起伏と
うっすらした墨色の陰翳の所々に
突刺したような疎林の枝先だけだ
私はその一枚の空を
淡いコバルト色に彩ってやる
そして 誤って まだ濡れている枝間に
ぽとり! と黄色の一と雫を滲ませる
私はすぐに後悔するが
子供達は却ってよろこぶのだ
「ああ まんさくの花が咲いた」と
子供達はよろこぶのだ
(『北国』より「白い自由画」 )
もうすぐ、あの日から1年になりますが、東北ではもうまんさくの花は咲いたでしょうか。