手塚治虫展 @阪神梅田本店
2011年 12月 25日

「アトム」デビュー60周年と映画「ブッダ」DVD発売を記念してのこととのこと。

手塚さんが生涯で描いた約15万枚の漫画原稿とアニメーション約70作品の中から原画、写真、資料、映像など約170点を展示するもので、「手塚治虫の誕生」「作家・手塚治虫」「手塚治虫のメッセージ」の3部で構成されています。
百貨店の催し物会場で開催ということで、あまり期待していなかったのですが、かなりの充実度。確かにセル画などはそう多くなく、子どもさんには退屈だったかもしれませんけど。
手塚治虫さんが子ども時代に昆虫採集にいそしんだ宝塚・御殿山を歩いてみたことがあるのですが、特に、第1部「手塚治虫の誕生」では5歳から24歳まで宝塚で過ごした時代の資料を本人のコメントとともに紹介され興味深いものでした。
手塚治虫の原点、宝塚・御殿山
赤本自体はリアルタイムとは言えないかもしれませんが、新宝島などの初期作品は貸本屋で1冊10円で読み漁った世代。それ以前の「マアチャンの日記帳」などでも、手塚治虫さんらしさが垣間見ることができて面白かったですね。「ツギヒョウタン」もその一つ。
第2部の「作家・手塚治虫」では、映画からヒントを得た「ストーリーマンガ」の確立に努めた時代の作品などを展示されていたのですが、「鉄腕アトム」、「リボンの騎士」、「ジャングル大帝」なんて、ただひたすら懐かしかったのですね。当時は、何もわからず見ていたのですが、カメラポジションとでもいいたくなる視点のめまぐるしい移動など、当時の他のTVアニメとは一線を画するものでした。「鉄腕アトム」、「リボンの騎士」などにしてもオープニングのすばらしさは、その音楽自体の素晴らしさもあいまって、筆舌に尽くしがたいレベルの高さですよね。「リボンの騎士」の音楽は冨田勲でしたが、はっきり言って子どもにはもったいないレベルです。はっきり言ってTVアニメで映像と音楽による総合芸術で、「リボンの騎士」を凌ぐものは生まれていないと思います。
第3部「手塚治虫のメッセージ」では、漫画やアニメーション作品に込めた読者・視聴者へのメッセージを作品と共に紹介。「二度と戦争をくり返さない」というメッセージを込めた「来るべき世界」や、「正義とは何か」をテーマにした「アドルフに告ぐ」、不正と戦う若者を描いた「どろろ」、生と死をテーマにした「火の鳥」などを原画とパネルで紹介。
個人的には、神戸が舞台として描かれた「アドルフに告ぐ」が好きで、手塚さんが描いた神戸の風景も阪神淡路大震災で失ったものも少なからずあって、ついつい、手に取ってしまうのであります。
■手塚治虫展
入場料は、一般=500円、学生=300円、小学生以下無料。開催時間は10時~20時(最終日は16時まで)。今月31日まで。