スピルバーグの「ターミナル」を見た人、見る人にお薦めなのが・・・
2004年 12月 31日
クーデターによって事実上祖国が消滅し、パスポートが無効になってしまった東欧のクラコウジア人、ビクター・ナボルスキーはアメリカへの入国が許可されず、空港に留め置かれてしまう。こうしてビクターの空港での生活がはじまる。
こんな内容でしょうか。
このビクターの実在のモデルが存在していることは、ご存知の方も多いのではと存じますが、実は、岩波新書 『シラクのフランス』に、著者がその人物に取材した際の話が載っています。男の名前は「アルフレッド」、70年代当時、内政不安にあった故国イランを追われ、国連難民高等弁務官事務所で難民認定を取得するも、パリで難民認定書を紛失。88年よりパリ空港で生活し続けているとのことであります。「ターミナル」をご覧になった方あるいはこれからご覧になる方、ご一読をお薦めいたします。
●岩波新書 「シラクのフランス」 軍司泰史著(新赤版853)
ところで、「『ターミナル』以前にも、「アルフレッド」を題材にした映画に、「髪結いの亭主」のジャン・ロシュホール主演の『パリ空港の人々』がありました。「アルフレッド」が出てくるのは一場面だけですが、それぞれの事情により空港から出るに出られなくなった人々の悲喜劇を綴ったハートウォーミング・コメディなのでありまして、本音を申せば、「ターミナル」の数倍面白かったですね。「ターミナル」よりも、この映画の方を(笑)お薦めします。
●「パリ空港の人々」
出演: ジャン・ロシュフォール, マリサ・パレデス, その他
監督: フィリップ・リオレ
アマゾンの岩波新書「シラクのフランス」紹介ページ
アマゾンのDVD「パリ空港の人々」紹介ページ