藤田美術館
2010年 04月 18日
癒されました。
藤田美術館は、大阪の旧男爵・藤田傅三郎氏と、嫡子平太郎氏、次男徳次郎氏の3人によって明治から大正にかけ収集された、東洋美術品(収蔵品5000点以上)を公開する美術館。広大な旧藤田家の邸宅敷地の一部が、美術館として利用されています。

収蔵品のうち、9件が国宝、50件が重要文化財ということですから、大変な充実振り。
藤田邸内にある古い蔵を改造して展示されており、確かに雰囲気はいいのですが、残念なのは、展示スペースが狭いことかな。
これだけ収蔵品が豊富なのに、展示スペースが狭いことにより、展示物が限定されてしまいます。ですから、必然的に、国宝 曜変天目茶碗といった、この美術館の代表的収蔵品など、3、4年に1度の公開となってしまいます。
とはいうものの、旧い蔵を改造しているがゆえ、ほのかな電灯のあかりと、蔵の窓から射し込む自然光によって独特の雰囲気を醸し出していて、ついつい長居したくなるのも事実なんですけどね。
さて、私が足を運んだ春季展のテーマは「歴史を彩る 教科書に載る名品」。
教科書に掲載されている国宝「紫式部日記絵詞」や重要文化財 「雪舟自画像」などを中心に、一度は見たことがある著名作品を展示するというもの。
展示作品リストは次のとおり(左クリックすると大きく表示されます)。

特に印象に残った展示品は次のとおり。
一休号 一休宗純
頓知話で名高い一休さん(笑)ですが、「大徳寺の復興を成すのは、この私、一休」だという書の掛け軸。一休さんの反骨の心が読み取れて興味深いものがあります。
雪舟自画像
天橋立図などで名高い室町時代の東山文化を代表する水墨画家、禅僧、雪舟ですが、この時代、自画像を残すことってほどんど無いように思うのですが、どういう意図や気持ちで自画像を残したのでしょうか。興味深いところです。
曜変天目茶碗
このあまりにも有名な茶碗を見るのは2度目かな。この美しい文様が意図的なものか偶然の産物なのか定かではないとのこと。「曜変」はもともと「窯変」と表記されるところ、「星の輝き」を意味する「曜変」を用いていますが、実物を見るにつけ、まさしく「星の輝き」と感じた次第。
幽霊・髑髏仔犬・白蔵主三幅対 長澤蘆雪筆
どう考えても、基本的には、師である円山応挙の有名な「幽霊図」や「仔犬図」をトリビュートした作品といえるのですが、幽霊などが、掛け軸から抜け出るように見えるように騙し絵的な工夫がなされているのがいかにも異端児にして天才、蘆雪らしい作品と感じました。
紫式部日記絵詞
日本史の教科書でしか見たことがなかった「紫式部日記絵詞」。藤原道長が描かれていることでも有名ですが、根津美術館の「源氏物語絵巻」との比較でも興味深いところ。
平成22年春季展「歴史を彩る 教科書に載る名品」
会期:平成22年3月6日(土)~6月13日(日)
休館日:毎週月曜日と3月23日(火)・5月6日(木)
(但し3月22日/5月3日と造幣局桜の通り抜け期間の月曜日は開館)
開館時間:午前10時~午後4時30分 (入館は午後4時まで)
入館料:大人 800円、高校・大学生 500円、小・中学生 300円
(団体料金:20名様以上各50円引き)
交通:JR東西線 大阪城北詰駅3番出口 徒歩約2分
JR・京阪本線 京橋駅 徒歩約10分
地下鉄長堀鶴見緑地線 京橋・大阪ビジネスパーク駅 徒歩10分
なお、美術館の中庭には、紀州高野山の光台院にあった多宝塔が移築されています。桃山時代の塔と推察されるのですが、どういうわけか国宝、重要文化財等の指定なし。

なお、藤田美術館に隣接して、大阪市立藤田邸跡公園という公園があります。文字通り、藤田邸跡の庭園。園内に滝を配置するなど特徴のある庭園。この庭園は戦後放置され鬱蒼とした森となっていたのを、JR東西線建設工事時に建設基地として使われるために木が伐採され、東西線開業後に大阪市によって公園として整備されたものだとのこと。無料で公開され住民の憩いの場所となっているのは好ましいところであります。


さらに興味深いのは、藤田家の本邸は、明治45年(1912年)に当地にあった大長寺の敷地を買収して建てられたとのことですが、大長寺は、近松門左衛門の代表作の一つ『心中天網島』で小春・治兵衛が心中した場所。実際、藤田美術館の町名は「網島町」です。

