嵯峨菊に彩られる大覚寺 ~愛くるしい19匹のウサギもいます~
2009年 11月 28日
嵯峨御流華道の家元でもあることからか、どこかしら華やいだ風情が漂っています。
特に、大覚寺嵯峨菊展が開催される11月は至るところに嵯峨菊が設置されて一層、艶やかさを増しています。


ところで嵯峨菊とは・・・
嵯峨天皇の御代、大沢池の菊ケ島に自生していた嵯峨野独特の野菊を、永年にわたって王朝の気品ある感覚をもって洗練し、「天、地、人」の微妙な配置に仕立て上げた、格調高い菊だそうな。


1鉢に3本仕立て、草丈は殿上から鑑賞するのにちょうどよい高さの約2メートルに仕立てて・・・花は先端が三輪、中程に五輪下手に七輪と、七、五、三に・・・葉は下部を黄色、中程は緑、上の方は淡緑というように仕立て、春夏秋冬をあらわすことになっています。花弁は平弁で、54弁。長さは約10センチが理想。色は嵯峨の雪(白)、右近橘(黄)、小倉錦(朱)、藤娘(桃)などの淡色が多く、あまり混植をしない等々、いろいろな決まりごとがあるようですが、・・・





私は、正直なところ、次の写真のように制約のない自然ないでたちの嵯峨菊が好みなんですが。


東に隣接する池は、中国の洞庭湖を模した言われる日本最古の庭苑池大沢池で、国の名勝に指定されています。春の桜のほかに秋の紅葉が美しい場所だということでしたが、ちょっと早かったみたいでした。




嵯峨菊のルーツ、菊ケ島という小島も大沢池に浮かんでいて、ちゃんと嵯峨菊が咲いていました。

なお、大覚寺を訪問された際には、是非とも見ておいて欲しいのがうさぎたちです。まあ、うさぎといっても、生うさぎではなくて、江戸時代の渡辺始興という御仁の筆による板絵。でも、すこぶるカワユイ。


正寝殿の腰障子に描かれたもの。兎と草だけをあらわすという至極単純なものなのですが、19匹のうさぎたちは、どれもみな愛くるしいまでの表情やポーズで描かれており、観る者の心を和ましてくれます。幼い寛深門主を慰めるために制作されたとする説もあるとのこと。このうさぎたちを見ていると、確かにそうかもしれないと思われるものはありますね。


(撮影:2009年11月22日)