「瀧廉太郎 ~夭折の響き~」(2)
2004年 11月 30日
近代日本の音楽の扉を開いた作曲家、瀧廉太郎の名を聞いて、誰もが真っ先に思い浮かべるのは、あの土井晩翠作詞の名曲「荒城の月」のメロディーだと思います。明治34年、ドイツ留学に際して催された送別演奏会で初演された曲とのことでありますが、いま私たちが知っている「荒城の月」は、実は瀧の没後、大正時代に大きく改変されたものであるという事実を、この本を読んではじめて知った次第であります。
この本の中で、著者は、東京音楽学校(現東京芸術大学)の後輩で、7歳年下の山田耕筰、彼こそが「瀧の原曲を完全に換骨奪胎し、まったく新しい芸術歌曲へと作り替えた」と指摘しているのであります。では、なぜ山田耕筰は、先輩の遺した作品に「非礼」と知りつつ、あえて「編曲」の域をも超えて作り変えたのか……。
それのみならず、病魔によりわずか24年足らずに終わった瀧廉太郎の生涯の実相と音楽的意味など、興味深い内容がこの本の中に詰まっております。ご一読をお薦めいたします。
なお、「荒城の月(原曲)」をダウンロードできるページをみつけました。ご参考まで。