妙心寺退蔵院の2つの庭
2009年 04月 24日
先ず「元信の庭」


築庭当時は背景に「双ヶ丘」が望め、「双ヶ丘」を借景とした奥行きのあるダイナミックで、ある意味「絵画的」な庭であったと想像されるのですが、現在は「双ヶ丘」は望めず、画家元信の築庭の意向を実感することは困難かもしれません。
元信が画家として最も円熟していた70歳近く、自分が描いた絵の理想を「庭」の中に表現しなおしたものだったと推察されるのですが。
それでも、50坪あまりの中に滝組・蓬莱島を中心に、無駄なく石を配置した趣のある庭園となっています。
そして昭和の名庭「余香苑」

余香苑(よこうえん)は、深山幽谷を思わす森木立の遠景と、水の流れを配した山水式庭園で中根金作の作庭。一年を通して花々に囲まれ、なだらかな坂と穏やかな池を有しています。
昭和の小堀遠州と称えられた中根金作氏というと島根県の足立美術館の枯山水庭園や京都の城南宮楽水園が思い出されるところ。いづれのお庭も、穏やかで親しみやすいものですね。どちらかというと江戸時代の小堀遠州スタイルの庭をモダンにしたような感じかな。重森三玲氏の庭のようにゴツゴツした感じはありません。
ところで、この余香園の桜は見事ですね。ただ、もう終盤を迎えていたのが残念。桜の見頃の頃に再訪したいものです。
