兵庫県立芸術文化センター管弦楽団第14回定期演奏会
2008年 01月 19日
今回のプログラムはR.シュトラウス2本立てというと併せて演奏される機会が多い《ドン・ファン》と《ティル》、そして、怒涛のブラ4というドイツ音楽傑作選といった感じのなかなかバランスの取れた好プログラム。《ティル》は新春特番で放送された「のだめ」でも重要な曲で登場したこともあり、ホールに来ていた若い人などは結構楽しみにしていた風情でした。
ちなみに、のだめの指揮コンで課題曲となっていた《ティル》ですが、佐渡さんがブザンソン指揮者コンクールでの最終ラウンドで指揮をしたのも《ティル》だったとか。これって、単なる偶然?
のだめで登場していた片平という日本人指揮者など、ジャンプするところなど、何気に佐渡さんを彷彿させましたですし(笑)。
◆プログラム
R.シュトラウス:交響詩《ドン・ファン》
R.シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》
~休憩~
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調
アンコール曲 チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ
指揮:佐渡裕
コンサート・マスター:豊島泰嗣
兵庫県立芸術文化センター管弦楽団
座席は、前列から8番目でホールの中央の19番で、今回は、なかなか素晴らしい席に恵まれました。ところで、その角度からだと、丁度、佐渡さんの頭のてっぺんが気になりまして(笑)。結構薄くなってきてますね。お気をつけになった方がいいかもしれません(笑)。
なお、お知り合いだと思うのですが、チェロのコアメンバーであるイ・ソジョンさんに対ししきりに応援をされていた方達がちょうど前の列におられました。なかなか微笑ましかったです(笑)。
さて、パンフレットに目を移すと、新入団やらPACオーケストラを去る人やら、ちょうど人が入れ替わる時期に来ているようです。このオケの性格上、仕方が無いことなのですけどね。演奏会直前にオケ関係者とお話しすることができたのですが、どうしても優秀な者が転出してしまうと・・・。
例えば、クラリネットのラスロ・クティさん。彼は若手演奏会の登竜門である松方ホール音楽賞を受賞している逸材で、ソロでもリサイタルを開催していたのですが、この度、ベルリン・フィルのオーケストラ・アカデミーのクラリネット奏者として活躍されるとか。まあ、本人のためですけど。ちょっと残念ですね。彼がいなくなると。今回がこのオケでの彼の聴き収め・・・
それから、岩谷祐之さんがソロ・コンサートマスターとして関西フィルに移籍されるとのこと、こちらは、これからもお見かけすることはできそうです。
さて、第1曲目は、R.シュトラウスの《ドン・ファン》。新年早々に相応しい、カッコいい曲なのですが、ちょっとアンサンブルが・・・。何かしら佐渡さんの表情も固いし。はっきり言って・・・練習不足?
そして最悪だったのが、私の前方左手の方が、もう少しで終わりを迎えるところ、しかも静かに耳を傾けるところで、なにやら、ビリビリと飴の袋を開ける音が・・・。結構、周辺のお客さんで、顔をしかめたり、にらめつける人いたのですが、本人は、全然気がつかないようで(笑)。こういう人にはちゃんとイエローカードだすべきなんでしょうけど。
さて、気を取り直して、2曲目は、《ティル・オイレンシュピーゲル》。これは良かったです。こういうのは佐渡さんが得意とする部類に入ります。裁判のシーンとティルのユーモラスさとの描き別けなど楽しめました。それにこの曲は、《ドン・ファン》以上に木管が活躍する曲だし、現在のこのオケにはぴったりなのかも。
なお、後半のブラームス。間違いなく佐渡さんがこのプログラムで最も心血を注いでいたブラ4。佐渡さんの意図はよくわかったのですが、最初の第1楽章硬かったです。初日だから?第2楽章ぐらいから調子が出てきて、第3楽章、第4楽章と絶好調という感じでしょうか。それでも、結構楽しめました。思えば、このホールでの杮落としの第九。このオケちゃんとやっていけるのだろうかと感じたこと思えば、びっくりするほどの進歩です(笑)。いや、贔屓抜きで第4楽章なんて、かなり引き込まれちゃったですね。
それから特筆すべきは、フルートのサビエル・ラックさん。この人要注目です。実は、ウィーン・フィルのヴォルフガング・シュルツさんのお弟子さん。佐渡さんも賛辞の表情を浮かべていたし、一際、好調な木管陣の中でも輝いてました。
さて、アンコール曲はチャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレ。実は甘すぎてこの曲あまり好きではないのですが、昨晩は良かったですよ。佐渡さんも何かしらこの曲に思い入れを持っているようですし。