オルセー美術館展(2)松方コレクションについて

現在、神戸市立博物館で開催中のオルセー美術館展とは少し話がずれてしまいますが、松方コレクションについて簡単にご説明しておきます。

オルセー美術館展(2)松方コレクションについて_b0063958_1829070.jpg神戸に本社を置く川崎重工業の前身でありました川崎造船所の社長であった故松方幸次郎氏(1865-1950)は、1916年から1923年にかけて、私財を投じてパリを中心にヨーロッパ各地で数千点におよぶ西洋の絵画、彫刻、工芸品を収集。これらのコレクションをもとにして、東京に共楽美術館を設立し、日本で西洋の美術作品を見る機会を提供しようと考えていたものの、経済恐慌によってこの計画は陽の目をみることなく、経済状況の悪化によるコレクションの散逸してしまいます。イギリスでの倉庫火災によるコレクションの消失などによって、現在では当時の膨大なコレクションの全貌を知ることは不可能となってしまったのですが、第二次世界大戦当時フランスに残され、サンフランシスコ講和条約によって一旦フランスの国有財産となった後、日本に寄贈返還された絵画など合計370点を核として、上野の国立西洋美術館が設立されたのであります。

なお、同美術館前庭にあるロダンの「考える人」や「地獄門」、「カレーの市民」なんかも松方コレクションであります。

次の写真は、国立西洋美術館所蔵の松方コレクションであったものの一つゴッホの「ばら」。
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ただ、全てが返還された訳ではないのでして、たとえば、今回展示されているゴッホの「アルルの寝室」なんかももその一つであります。どうして、この絵をフランス側は返還しなかったか。そりゃあ、芸術的な視点からも、資料・研究的視点からも、この絵が大変貴重で、どうしても返したくなかったからであります。さて、このシリーズの次回は、ゴッホの「アルルの寝室」について。
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by tetsuwanco | 2006-11-01 18:23 | アート

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by てつわんこ
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