プライスコレクション 若冲と江戸絵画展(6)伊藤若冲:伏見人形図
2006年 10月 02日
かわいらしい人形が7つ。ここには、ほのぼのとしたユーモラスさが漂っていて、彼の鶏の絵などに見られる彼特有の研ぎ澄まされた鋭さというものは感じ取れません。
でも、これも、また彼の一面かもしれませんね。この絵を見て思い出したのが、彼が晩年庵を結んだ伏見の石峰寺に残された石仏群。この石仏群は、若冲の下絵に基づくものとのことですが、「伏見人形図」と同様、ユーモアたっぷりであります。なお、若冲はこの奇抜軽妙な石峰寺の石仏群に囲まれて眠っているのであります。
ところで、この「伏見人形図」では、伏見人形制作で使われる雲母(きら)という画材を使用しているとか。若冲は伏見人形のデザインもしていたそうです。高名な絵師ですから、そんなことしなくても、お金には困っていなかったはず。どうして、そんなことしたのでしょうか。そういえば、石峰寺の石仏群にも、伏見人形のモティーフである「布袋」や「まんじゅうくい人形」、「童子」などとよく似ているものがあります。
果たして、若冲はユーモラスな伏見人形にどのような気持ちを託していたのでしょうか。