日本人によるベートーヴェン「第九」初演

現在、師走になると「第九」を演奏する、あるいは聴きにいくことが、恒例行事のようになっていますが、日本人による「第九」の初演は、1924年(大正13年)11月29~30日の東京音楽学校の定期演奏会でのこと(外国人による日本国内での初演は、1918(大正7年)6月1日に徳島県の板東俘虜(ふりょ)収容所内で、第一次世界大戦のドイツ人捕虜たちによって行われています)。
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指揮者は、ドイツ人のグスターフ・クローン教授、ソロイストは長坂好子、曽我部静子、沢崎定之、船橋栄吉の各氏。オーケストラとコーラスには、音楽学校の講師生徒約200名が総出演。
当日は、大変な混雑だったようで、演奏会の数時間前から入場希望者の列が音楽学校の門の外に溢れ、演奏会場の奏楽堂は、廊下まで聴衆が溢れたとのこと。これは異例なことで、一つの事件と言えるものでした。

前年の9月1日に関東大震災があり、東京は壊滅的状況にあったことから、初めての「第九」演奏会開催は並大抵のことではなかったと思います。否、ひょっとして、この日本人による初めての「第九」演奏会開催は、関東大震災が大きな動機になっていたのかもしれません。
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阪神淡路大震災の際にも、同様に、復興への祈りから、「第九」が演奏される機会が結構ありましたが、これは「第九」のメッセージ性から起因するもので、単なる偶然ではないかもしれませんね。
by tetsuwanco | 2005-11-29 08:18 | 旬のクラシック

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by てつわんこ
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