足立美術館の日本庭園 @島根県安来市
2015年 09月 28日
おそらく、皆さん方、足立美術館を訪問される方々の第一の訪問目的は、アメリカの日本庭園専門誌『Sukiya Living/The Journal of Japanese Gardening(ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング)』で連続して日本一に輝くという日本庭園ではないでしょうか。
当ランキングを見ると、「う~ん、どうして?」というのも含まれていて、私個人の感覚、否、日本人的な感覚とは、多少「ずれ」といったものがあり、足立美術館の日本庭園を日本一と認めてしまうのはどうかとも思わないでもありませんが(笑)。
それでも、1万3千坪の純日本風の庭園は,枯山水庭,白砂青松庭,苔庭,池庭など館内至る所から異なった風情を楽しめ、どこ箇所を切り取っても、いろいろ表情があって、アメリカの日本庭園専門誌が、連続して日本一と認定するのは、あながち、的外れでは無いように思われます。
とにかく、広い。手入れが行き届いている。ここまで手入れするには、ここに入っている庭師の人たちもきっと大変でしょうね。
「歓迎の庭」「寿立庵の庭」「苔庭」「枯山水庭」「池庭」「白砂青松庭」など、全部の庭を見て、確かに美しい庭がここにあるし、季節が変われば、また日によって、時間によっても庭は表情を変えるのでしょうね。まだまだしばらく眺めていたいし、違う季節にも来てみたいとも思うのですが、米国の雑誌で日本一というランクをもらったかもしれないけれど、日本人が選ぶ庭でもここが日本一となれるだろうかという素直な疑問を皆さんお持ちじゃないですか?
もちろん、素晴らしい庭であることには間違いないのですが、私には、日本の庭を代表する庭園と認定するには、何かが足りないような気がしてなりません。このお庭は、豊臣秀吉好みの庭園かもしれないけれど、決して利休好みではないでしょうね。
ひょっとすると、京都の大徳寺や妙心寺の塔頭寺院の坪庭などに潜む「宇宙」とは最も遠いところに、この庭は位置するのかもしれません。
多くの銘石を集め、巧みに庭園に配したところ、借景の利用を伴う広々とした庭園空間など、私は、室町幕府三代将軍足利義満が造営した鹿苑寺金閣の庭園を思い出しました。
この足立美術館は、この美術館を創設し広大な庭園を造営した足立翁の夢の形なのかもしれません。
ところで、この庭園、江戸後期の回遊式の大名庭園風なのにもかかわらず、一部を除いて、窓ガラス越しなどがメインで、自由にお庭を回遊するようにはなっていません。
「日本庭園も絵画だ」という趣旨かもしれませんが、庭園内をそぞろ歩き、風や香を肌で感じ、季節の変化を体感するというのも「お庭」の楽しみ方だと思うのですが。