ルーヴル美術館展(11)ティツィアーノ「鏡の前の女」
2015年 07月 18日
盛期ルネサンスのヴェネツィア派で最も重要な画家のひとり、ティツィアーノ作『鏡の前の女』。この絵に描かれた女性の、傾けた顔、青い目、白い肌、露わになった肩、波打つ金髪はどれも16世紀初頭のヴェネツィアにおける理想的女性像を表現。
この時代、容姿端麗で高い教養を誇る高級娼婦「コルティジャーナ」が活躍し、彼女たちをモデルにした絵画がよく描かれました。この絵のモデルがコルティジャーナだったかどうかは定かではないですが、この時期、官能的な女性が美しいとされていたのは間違いないようです。
なお、2つの鏡が、この女性の過去と未来、そして、死というものを暗示しているという深読みする説もあるようですが、素直に、ティツアーノが描いた理想的女性美と彼の技法に酔いしれる方がいいんじゃないかな。