ルーヴル美術館展(10)ジャン=バティスト・グルーズ「割れた水瓶」
2015年 07月 17日
『割れた水瓶』(1771年)では、少女が腕にかけた水瓶が割れ、無垢を象徴する白い服はしわくちゃに。これは、処女性の喪失というテーマを暗示しています。立ちすくむ少女の呆然とした表情に、自らの軽率さを悔やむ美徳を感じ取り、人々は同情を寄せたことでしょう。
実はこの絵、ルイ15世の寵妃にして、1789年に発生したフランス革命で斬首刑に処されたデュ・バリー伯爵夫人が直接購入し、最後まで所有していたコレクションの1つなのです。彼女はなぜこの絵をずっと手元に置いていたのか。いろいろと思いめぐらせてしまいます。
デュ・バリー伯爵夫人像