旧甲子園ホテルライトアップ
2010年 12月 13日
大学の地域貢献の一環としての恒例事業としての色彩が強いと思われ、来訪者も界隈の地元住民が中心となっていて、神戸ルミナリエや大阪の光のルネサンスのように人ごみでごった返すというようなことはありません。
もともとこの甲子園会館は、昭和5年、東の帝国ホテルとともに並び賞された甲子園ホテルとして竣工、阪神間における高級社交場として賑わったとのこと。皇族、大臣をはじめ、文化人や海外の要人が宿泊。大リーガーのベーブ・ルースらも利用し、舞踏会では作曲家山田耕筰がオーケストラを指揮したといわれています。
その後海軍病院、そして終戦後は、米軍の将校宿舎を経て国に接収された後、昭和40年、武庫川学院が譲り受け教育施設として再生したもの。
設計は、ル・コルヴィジエ、ミース・ファン・デル・ローエとともに「近代建築の三大巨匠」と呼ばれるフランク・ロイド・ライト(米・1867~1959)の愛弟子 遠藤新(1889~1951)の手になり、当時、帝国ホテルの常務取締役で、ホテル界の第一人者といわれた林愛作(1873~1951)の理想に基づいて設計されました。
中央に玄関・フロント・メインロビーを置き、左右に大きく食堂と宴会場を張り出し、その両翼の上階に独立性を保ちながら集約された客室群を階段状に配したライト式建築の建物です。
甲子園会館は、日本に残る数少ないライト式の建築物であるとともに、り、「打出の小槌」を主題にしたオーナメントや緑釉瓦、西ホールの天井に見られる市松格子など、日本の伝統美が随所に取り入れられた独創的な建築物。壮麗な洋風建築の中に和を感じさせるものとなっています。
日頃は、事前予約でないと見学できませんので、近代建築に興味を有する人には特に興味深いイベントですね。
また、甲子園会館とその周辺のライトアップとともに、2本のヒマラヤスギを利用したジャンボクリスマスツリーの点灯もクリスマス気分を盛り上げました(ジャンボクリスマスツリーの点灯は、25日まで毎日17時~22時まで)。